ドクターズアドバイス

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No.14 風しんの流行をとめるために!知っておくべきこと、やるのは今でしょう!

H25.6.1更新

過去最悪のペースで流行が拡大している「風しん」。
例年ピークは夏ごろで、今後ますますの流行拡大が懸念され、首都圏や関西地方では「風しん非常事態宣言」が出されています。世界では、旅行者が日本に行く際の風しん注意喚起も出されています。

風しんは、小児の場合2〜3週間の潜伏期の後、発熱、発疹、頸部リンパ節腫脹などをきたしますが、あまり重くはなりません。大人の場合は、小児より症状が強く、治るまでに1週間くらいかかる場合があります。関節痛が強いことやまれに血小板減少や脳炎を起こすこともあります。 特別な治療法はありませんが、予防接種で防ぐことが出来る病気です風しんの感染力はインフルエンザの5倍、身近に感染者が出てきてからでは遅いのです。 安全のための準備<予防接種>が必要です。

今、問題なのは?

妊娠初期の女性が風しんに罹った場合、先天性風しん症候群といって、生まれてきた赤ちゃんに重い障害をきたす場合があることです。先天性心疾患、高度難聴、白内障、精神発達遅滞などです。その発生頻度は、妊娠1ヶ月でお母さんが風しんに罹った場合は50%以上、2ヶ月で35%、3ヶ月で18%、4ヶ月で8%と報告されています。

2012年10月〜2013年4月までの7ヶ月間では10人の先天性風しん症候群が報告されました。妊婦が感染した時期は2012年前半と推定されますが、2012年の同時期〔158人〕と2013年5月1日まで〔5,442人〕との風しん患者報告数を比較すると、2013年は2012年の約35倍です。
その後も風しん患者の報告は増え続けており、先天性風しん症候群の発症増加が心配されます。

大切な未来の赤ちゃんは、予防接種で守ることができます。

しかし、妊娠中は予防接種を受けることはできません。妊娠前の準備<予防接種>が必要です。

子どもたちは

1歳になったらすぐに1回目のMR(麻しん・風しん)ワクチン、そして小学校に入る前の年に2回目のMRワクチンが定期接種になっています。2008年から2回目接種をしていない中学1年と高校3年も2回目のMRワクチン接種が義務付けられ、現在23歳未満の人は2回接種が完了していることになります。母子手帳を見直して2回の定期接種が完了していない小学生・中学生・高校生以上の年代の人は、任意接種(自費)になりますが、2回の接種が必要です。

大人は

23歳以上の人は、定期接種は1回だけですから、抗体価が低くなっていることが懸念されます。
実際、現在の流行の8割近くは男性で、そのうち20〜40代が9割です。女性は20代が多いです。30〜40代の男性は、子供のころ風しんワクチンを一度も受ける機会がなかったため(中学生女子のみの接種だった年代)、今の流行になっていると考えられます。

妊娠中あるいは妊娠を希望する女性が身の周りにいる成人男性は、自分のためだけでなく、妊婦と未来の大切な赤ちゃんを風しんから守るためにも、予防接種(MRワクチン)が必要です。

予防接種は

女性は妊娠していない時期(生理直後)に接種し、接種後2か月間は避妊が必要です。男性は何時でも接種可能であり、接種後避妊の必要はありません。ただし予防接種後に妊娠が判明した人たちの中にも先天風しん症候群が発症した例は報告されておらず、予防接種に対する過剰な心配は不要です。

妊娠時の血液検査で風しん抗体価が低い(HI価16倍以下)ことが判明した方は、次の妊娠に備えて、分娩直後の予防接種をお奨めします。授乳中でも問題はなく、予防接種から赤ちゃんを含めほかの人に感染することはありません。

下の表は 国立感染症研究所の多屋馨子室長発表のものですが、1990年4月1日以前に生まれた人(現在23歳以上)は、抗体価が低い可能性のあることが良くわかります。ご自分の年齢と接種歴を確認する(母子手帳の記録)参考にしてください。
接種歴がわからない人は、予防接種を受けることを奨めます。

生年月日別 風しんワクチンの定期接種の状況

生年月日別 風しんワクチンの定期接種の状況

国立感染症研究所感染症情報センターの資料を基に作成

風しん・先天性風しん症候群を予防するために〜予防接種を奨める対象〜

1.定期接種対象

1回目:1歳児 1歳になったらすぐ
2回目:小学校入学前1年間なるべく早く

2.任意接種
  • 妊婦の周辺:妊婦の配偶者、同居家族、職場の同僚、友人など(妊婦自身は予防接種を受けることができないので、周りの人が受けてかからないように配慮してほしい)
  • 20〜40代で妊娠を希望、あるいは可能性の高い女性は妊娠前に!接種後2ヶ月間は避妊
  • 妊婦検診で風しんHI価16以下であった人は出産後早期に
  • 定期接種未完了の小、中、高校生以上の年代該当者
  • 職業上のリスクがある人:医療、保育、学校関係

現在妊娠中で、風しんのHI抗体価が16倍以下の人は

  • 妊娠20週までは、人混みへの外出はできるだけ避けましょう。
  • 配偶者および同居家族は、予防接種を受けることを奨めます。
  • 出産後早期(産科退院時or1ヶ月検診時)の予防接種が必要です。