風邪のウィルスに抗菌薬(抗生物質)は効きません
くしゃみ、鼻水、咳、風邪ひきさんの季節です。
「鼻水が黄色いから」「咳が治らないから」抗菌薬を飲もうと思っていませんか?
黄色い鼻水は、細菌やウイルスが体内に侵入し、それをやっつけるために働いて死滅した白血球や免疫細胞が鼻水に含まれることで黄色っぽく見えるのです。
体の中の免疫が働いている証拠であり、多くの場合、抗菌薬は不要です。
ほとんどの風邪の原因であるウィルスに抗菌薬は効きません。インフルエンザにもコロナにも効きません。
抗菌薬は細菌と戦う薬です。
通常時、私たちの体の中には害のない細菌がたくさんいます。そこへ病原菌がやってきて増殖すると、細菌感染症(細菌性肺炎・膀胱炎・とびひなど)を発症します。
抗菌薬は病原菌をやっつけるとともに害のない細菌も退治します。すると、病原菌が変化したり、もともと体の中にいた薬剤耐性菌(抗菌薬が効かない細菌)が生き残って、体の中には薬剤耐性菌がたくさんいる状態になります。
薬剤耐性菌が増えるとどうなるの?
患者さんの細菌感染症を治せなくなります。
感染症対策ができないと、大きな手術もできなくなります。世界では、薬剤耐性によって年間70万人が死亡しています。
今、対策を講じないと2050年には 死亡者数が1000万人になると予想されています。世界中の問題です。
薬剤耐性にならないためには?予防法は?
- 抗菌薬を使うかどうかは、医師の指示に従ってください。
医師は患者さんの状態に応じて抗菌薬を処方しています。
処方された抗菌薬は最後まで飲み切りましょう。 他の人に処方された抗菌薬を飲んだり、とっておいて後で飲んではいけません。- 感染症(細菌・ウィルス)にかからないようにワクチン接種をしましょう。
- 外出先から帰ったら、手洗いをしっかりしましょう。
- 風邪をひいたら他の人にうつさないため、マスクをしましょう。
※「AMR臨床リファレンスセンター啓発用資料」より